【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「……よく無事だったな」
「……騎士団長様のことを占って、許してくださいました」
「そうか。そこまで行き着いた経緯が気にならないでもないが、相当気に入られたらしいな。……厄介な」
「厄介……?」
美しく、優しく微笑んでいる魔女様。
でも、騎士団長様と一緒に行ってしまったときは、とても冷たい表情だった。
もし、騎士団長様にご迷惑をおかけしてしまったら、申し訳ないわ。
「それは、それとして。騎士団長、アーサー・ヴィランド卿に求婚されたというのは本当か? それに、今朝は、元婚約者が押しかけてきたそうじゃないか」
「…………後半の事実はともかく、なんですか、前半のデマは」
騎士団長様のような、すべてを持っているお方が、私なんかを相手にするはずがないのに。
「勝利の薔薇を、受け取ったのだろう?」
「……勝利の薔薇、ですか?」
たしかに、銀色の薔薇を受け取ったけれど、それがどうして……。
「騎士が、戦いに勝利して、女性に薔薇を捧げるのは、求婚を意味する。……常識だろう?」
「じょ、常識……?」
「王宮、いや王都全体、リティリアとヴィランド卿の噂で持ちきりだ」
「は……?」
キョトンと目を見開いた私は、オーナーの言葉に、手にしていたサンドイッチを思わず取り落とすのだった。