【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
オーナーによると、すでに止めることなんてできないほど、王都に噂は駆け巡ってしまったらしい。
「と、言うことは、騎士団長様の耳にも」
「――――入っているだろうな」
気になることがある、と言っていた言葉は、そのことだったのかしら。
騎士団長様ほどの方が、そんな噂を流されてしまったら、きっと困るに違いないわ。
だから、その話をするために、迎えに来ると言ったのね……。
「実は、今日迎えに来てくれることになっているんです」
「そうか、噂は事実か」
「いいえ。全くのデタラメです」
「……しかし、冷酷無比な鬼団長が、かわいらしすぎる店に入っていく姿が多数目撃され、笑わないことで有名な騎士団長が、一人の令嬢を前にまばゆいほどの笑顔を見せていたと……」
「え……?」
――――事実である。
「それに、王太子殿下と婚約が内定している姫君から賜った銀の薔薇を、愛しい令嬢に捧げたとか」
「あ……」
――――事実である。愛しい、というのはともかく。