【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
 次の瞬間、なぜか眉をひそめた騎士団長様が、マントを外し、バサリと頭から掛けられた。
 そして、そのまま手を引かれて、お店の外に連れ出された。

「……あの?」

 赤くなってしまった頬を隠してくれたのだろうか。
 でも、騎士団長様に憧れている女性たちの、赤く染まった頬なんて見慣れているはずなのに。
 ましてや、姫君と恋仲……。

 途端に、冷静になったのか、頬の熱さが引いていく。
 代わりに胸が痛いことには、気がつかないようにする。

 外に出ると、マントを外され、そのまま手を引かれ、私たちは歩き出した。
 騎士団長様の歩く速度は速いから、私は小走りだ。

「……はあ、はあ」

 上がってしまった息を整えようと深呼吸していると、ハッとしたように騎士団長様は振り返り、申し訳なさそうに眉を下げた。

「っ、す、すまない。いつもの調子で歩いてしまった」
「はあ、はあ、だ、大丈夫です。私の体力がなさすぎるのです」
「配慮が足りなかった。許してほしい」

 本当に申し訳なさそうに頭を垂れた騎士団長様。
 とても、王都の守護者とか鬼騎士団長なんて、呼ばれているようには見えない。
 むしろ、目の前にいる人が、可愛らしくすら見えてしまう。
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