【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
 ……もう少し、体力をつけるべきだわ。

 お仕事以外は、部屋でお菓子を作ったり、読書をしたり、のんびりしていることが多い私は、体力があるとは言えない。
 騎士団長様のありあまる体力とは、比べようもない貧弱さに違いない。

「すまない。あまりに可愛らしいから、誰にも見せたくなくて、マントなんてかぶせた上に、つい足早になってしまったようだ」
「へっ?」

 ……聞き間違いかしら?

 それとも、騎士団長様ともなれば、息を吸うように女性を褒めるものなのかしら?

「――――リティリア嬢」
「は、はい」
「ここでできる話ではないんだ……。もし、もしもよかったら、俺の屋敷に」
「機密事項……なのですね?」
「そうだな。一つは機密事項で、もう一つは個人的に人に聞かれたくない」

 どこか耳元の赤い騎士団長様に、私は先ほどの考えが正しかったのだと確信した。
 たしかに、姫君との秘密の恋は機密事項で、他人様に聞かれるなんて、個人的にも嫌に違いないわ。
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