【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 当たり前よね。そう思うと同時に、騎士団長様の口からそのことを聞いてしまったら、なぜか分からないけれど、きっと私はしばらく立ち直れない、そんな気がしてくる。

 騎士団長様の手は、ゴツゴツしていて、大きくて、少し冷たい。
 手が冷たいのは、朝ご飯を食べないからに違いない。
 今後、カフェフローラにまた来てくださるか分からないけれど、いらっしゃったときには、絶対に何か召し上がっていただこう。

 その前に、ちゃんと伝えておかないと。
 そうでなければ、騎士団長様は安心できないに違いないから。

「あの」
「……リティリア嬢?」
「私、秘密は絶対守りますし、ちゃんとお二人のために協力します」
「秘密を守ってもらえることについては、願ってもないが。……二人に協力?」

 なぜか、語尾が疑問形だった騎士団長様。
 私が、お手伝いできることなんてないってことかしら。
 せっかく、少しでもお力になりたいと思ったのに、必要ないのかしら。

 ……協力してほしいわけではないの? それなら、なぜ私は、騎士団長様と手をつないだまま、お屋敷に行こうとしているの?
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