【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
オーナーに聞いた噂話について、とくに隣国の姫君との噂について聞いた騎士団長様の表情は、完全に曇ってしまった。
そして、どこか剣呑な光を宿した淡いグリーンの瞳が、まっすぐに私のことを見つめる。
「つまり……。何も伝わっていなかった、ということか?」
「え……。あの、秘密であることは理解していますし、私にできることなら」
「リティリア嬢は、俺が隣国の姫君と恋仲だとしても、少しも気にしないのか」
「…………」
少しも気にしないなんて、そんなはずがない。
気にならないのだとすれば、考えるたび痛くなる胸に、説明がつかないもの。
うなだれた上に黙ってしまった私を見て、何を思ったのか、騎士団長様がいつもとは違う、そう、試合場で見たような獰猛な笑みを見せる。
「少しは、期待しても、いいのだろうか?」
私は、まるで猛獣に追い詰められた小動物みたいに、指先一つ動かせずに固まった。
スローモーションのように見える世界で、無骨な指先が私のフワフワ波打つ髪を撫で、一房手のひらにのせる。
そのまま、そっと近付いてくる騎士団長様の……。
見間違いなのだろうか? 唇……?
そして、どこか剣呑な光を宿した淡いグリーンの瞳が、まっすぐに私のことを見つめる。
「つまり……。何も伝わっていなかった、ということか?」
「え……。あの、秘密であることは理解していますし、私にできることなら」
「リティリア嬢は、俺が隣国の姫君と恋仲だとしても、少しも気にしないのか」
「…………」
少しも気にしないなんて、そんなはずがない。
気にならないのだとすれば、考えるたび痛くなる胸に、説明がつかないもの。
うなだれた上に黙ってしまった私を見て、何を思ったのか、騎士団長様がいつもとは違う、そう、試合場で見たような獰猛な笑みを見せる。
「少しは、期待しても、いいのだろうか?」
私は、まるで猛獣に追い詰められた小動物みたいに、指先一つ動かせずに固まった。
スローモーションのように見える世界で、無骨な指先が私のフワフワ波打つ髪を撫で、一房手のひらにのせる。
そのまま、そっと近付いてくる騎士団長様の……。
見間違いなのだろうか? 唇……?