【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
いいのかしら。騎士団長様のお屋敷にとうとう来てしまったわ……?
思ったよりも、静まりかえっているお屋敷の中。
あれ……? 使用人はいないのかしら。
その割に掃除は行き届いているから、誰も来ていないというわけではないのだろう。
……でも、生活感がなくて、さみしい。
「……えっと、誰もいませんね?」
「……普段使っていないからな」
「……あ、そうですよね。騎士団長様個人が賜ったと言っていましたものね?」
王都には、ヴィランド伯爵家の邸宅があるのだ。
一人きりで、このお屋敷で暮らしているわけではないのだろう。
そう思ったのも、つかの間……。
「ん、というより、騎士団の詰め所から帰ることが、ほとんどない」
「……えぇ!?」
つまりそれは、仕事場に暮らしていると言うことなのだろうか……。
騎士団のお仕事は、カフェとは違い24時間営業。
その仕事場に、年中無休でいると言うことは……。