【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「働き通し!?」

 王都の風の噂で聞いた、騎士団長アーサー・ヴィランド様は、いつでも最前線で大活躍していた。
 そんな騎士団長様が、ある日、私が働く乙女系のかわいらしすぎるカフェにいらしたときは、見間違いと思ったけれど……。その思い出を振り返るのは、あとにするとして。

「……王都の安全のためだ。当然の」
「当然ではありません!!」

 もちろん、有事の際に、泊まり込むこともあるだろう。
 騎士というのが、そういうお仕事だって事は理解している。
 オーナーだって、王宮魔術師として、有事の際にはカフェに顔を出すこともできずに奔走している。

「――――リティリア嬢」
「朝ご飯も食べずに、働いてばかりいたら、いつか倒れてしまいます!」
「……ふ」
「何がおかしいのですか!」

 心配しているのに、口の端を歪めて、なぜか笑いをこらえているような騎士団長様に、つい声が大きくなってしまう。
 それなのに、騎士団長様はなぜか、満面の笑みを私に向けた。
< 57 / 334 >

この作品をシェア

pagetop