【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 王立騎士団長、アーサー・ヴィランド様。
 騎士団長に就任したのは、一年前。
 そこから、騎士団に新しい訓練法を取り入れたり、戦術を編み出したり、竜を単騎で倒したという噂まである。

 鬼騎士団長と呼ばれているけれど、それはあまりの強さを恐れられていると同時に、王都を守護する鬼神のような存在を意味しているのだろう。

「……ご注文は何になさいますか?」

 夜みたいな黒い髪のなかできらめく淡いグリーンの瞳が、なぜかまっすぐに私のことを見つめている。
 いけない、注文を取るのを待っていらっしゃったのね?

「あ、ああ。コーヒーを」

 胸元から取り出された懐中時計をチラリとのぞき込んで、少し慌てたように騎士団長様は、コーヒーを注文した。
 おそらく、このあとお仕事なのだろう。
 早めに出して差し上げなくては。

 慌てた私は、小川にそのまま足を入れて進もうとした。その時、なぜか腕が掴まれる。
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