【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「お仕事、だったのですか?」

 不思議に思って、思わず聞いてしまった。
 すると、騎士団長様は、困ったように眉を寄せて笑う。
 ただのカフェ店員が、余計なことを聞いてしまったわね……。

「今日は、珍しく非番だったんだ。俺が休みを取らないと、部下もとれないと、副団長に怒られてな」
「そうだったんですか……」

 でも、なんとなく、こんな天気でもなければ、休まなかったのだろうな、と私は思った。
 働き過ぎてしまう騎士団長様の生活が透けて見えるようだ。

「では、ゆっくりしていってください!」

 その日、いつもの肩身が狭そうな様子ではなく、騎士団長様はのんびりと過ごしていた。
 そして、そのあと数ヶ月間、騎士団長様は、雨の日も、風の日も、店休日以外皆勤賞で、早朝コーヒーを飲みに、カフェフローラを訪れたのだった。
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