【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「それにしても、解決って……」

 首を傾げて見上げた騎士団長様は、なぜかパッと私から視線を逸らす。

「そういえば、他にもう一つ、何か伝えることがあるって、言っていましたよね?」
「嫌な話になるが」
「大丈夫ですよ」

 だって、そう言って口籠もってしまった騎士団長様こそ、なぜか辛そうなのだもの。
 だから、私のことなんて気にせずに、話してほしい。

「すまない。……実は、先日ギリアム・ウィアーが、この店に来たことについてなのだが……」
「なにか、あったのですか?」

 婚約破棄されたことは、すでに私にとって過去になりつつある。
 いつも、婚約者として縮こまっていた私は、このお店で働いて変わることができたと思うから。

 今も、自信がないことは、変わらないとしても。

「ああ……。実は、ウィアー子爵家は、すでに没落寸前らしい。そして、店を訪れた時にレトリック男爵家の地下資源について語っていたが……」

 ウィアー子爵は、たしかに資金繰りが悪かった。
 だからこそ、家格は下でも当時は潤沢な資産を持っていた、レトリック男爵家の長女である私と婚約を交わしたのだ。
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