【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
地下資源。たしかに、私の実家、レトリック男爵家は、疫病や天災、多くの不幸が重なって落ちぶれてしまったけれど、豊富な地下資源を持ち、魔道具を動かすのに必須の魔鉱石も産出される。
時間さえあれば、立て直すことはできるはずだった。
けれど、婚約破棄され、その上なぜか王家からの支援も滞り、魔鉱石を採掘するための資金を手に入れることができずに、苦境に立たされたのだ。
そんなレトリック男爵家は、ようやく再生しつつある。魔鉱石を採掘する準備も整ったと聞く。
だから、私が王都にいるのも、この店で働くことができるのも、もうすぐ終わりになるはずだった。
「……三年前、通常であれば復興のために支給される王家からの支援が、滞ったことと関係あるのでしょうか?」
「聡いな……。ああ、そうだ」
たしかに、私の婚約破棄とレトリック男爵家の没落に伴い、なんとか私たちの領地を手に入れようとする貴族たちにより、復興が遅れてしまったのは、事実だ。
私を妻にして、レトリック男爵領を手に入れようとする貴族もいた。