【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
家族のためを思えば、条件のいい縁談を受け入れるべきだった。
そうしようと思ったのに……。
家族たちは、私の知らない間に、すべてそんな縁談を断ってくれたのだ。
「魔鉱石、ですか」
「ああ、魔道具を動かすには必須だ。もしかすると、天災の後起こった不幸な出来事のいくつかは、人為的なものなのかもしれない」
「……そうですか」
魔鉱石の採掘については、少しだけ問題がある。
いくら地下に魔鉱石があるとわかっていても、誰もが手に入れられるわけではないのだ……。
俯いてしまった私の頭に、もう一度大きな手が添えられる。
頭を撫でられるのかと思ったのに、その手はするりと私の髪を撫でて、そのまま頬に降りてくる。
「心配する必要は、もうない」
「やっぱり、考え直したほうが……」
どう考えても、王家からの支援を留めることができるなんて、権力を持っている人だ。
いくら、騎士団長様だからって、危険に違いないもの。
それに、魔鉱石が目的で動いているのなら、このお店で働くという名目で、王都に逃れ、オーナーの庇護を受けている私と関わるのは、もっと危険だ。