【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「……美しい礼だな」
「お褒めにあずかり光栄です」
「しかし、今日は感謝の気持ちを伝えるために用意した食事だ。気負わず食べてほしい」
「ありがとうございます」

 椅子を引かれ、促されるままに席に着く。
 こんな風に、誰かと食事するのは、とても久しぶりだ。
 騎士団長様は、私の右隣に座る。

「かわいい……」

 ガラスの器の中に見えるのは、まるで森の中みたいな小さな景色。
 小さく可憐な花を模したお野菜。本物の花のように精巧だ。
 色とりどりの野菜とソースが入っていて、食べずにこのままお部屋に飾っておきたくなる。

「こ……。これは、新メニューが浮かんでくるようです」
「カフェフローラの話をして以来、本邸の料理長がこだわっていてな……。ところでメニューも考案しているのか?」
「ふふ。少し意見を言うだけです。それにしても、食べるのがもったいないですね……」
「食べてくれ。その方が、料理長も喜ぶだろう」

 本邸から、このためにわざわざ来てくださったのだろうか……。
 そっと、フォークですくったら、小さな森は壊れてしまったけれど、甘くて少しだけピリリとしてて食欲がわく
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