【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
黙り込んでしまった私たちの目の前に、差し出されたのは、きらきらと宝石みたいなカラフルな氷が浮かんだソーダ。
そこに浮かんでいるピンク色の薔薇の花を形づくったアイスの横に添えられたさくらんぼは、魔女様からいつも分けていただくものと同じ、七色をしている。
「すごい……。この氷、本物の宝石みたいですね」
「そうだな……。手が込んでいる」
氷が溶けてしまう前に、一口飲む。
今度はクルクルとかきまわして飲む。
「思った通り……。氷が溶けると、味が変わるんですね」
溶けた氷が、ソーダーをほのかに紫に染めていく。どこか、私の瞳と似た色にも思える。
いい香りがする、とパクリと食べたアイスクリームからは、ほのかなベリーと薔薇の香りが漂った。
「すごい!! ものすごく美味しいです」
感動してしまった私は、思わず顔を上げて騎士団長様に笑いかける。
騎士団長様の男らしい喉元が、ゴクリと音を立てた気がして、ほんの少し首をかしげる。
「喉が渇いたのですか? 騎士団長様も飲みましょう?」
「いや、ちが……」
「え?」
「……いただこう」