【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
長時間話し込んでしまった私と料理長。
料理長が退室してからも、しばらくの間、新作のメニューが浮かんでしまって、私は思考の海に沈んでしまった。
「そろそろ、食事を終えようか?」
「――――あ」
その声に我に返る。
こんな風にお待たせしてしまったことに、機嫌を損ねてしまったのではないかと、恐る恐る顔を上げたけれど、予想に反して騎士団長様は、楽しそうに口の端をあげていた。
「……お待たせしてしまって、申し訳ありません」
「いや……。はは」
なぜか声を上げて笑った騎士団長様は、本当に楽しそうだ。
お菓子や新しいメニューについて、料理長と語り合っている間、私はとっても楽しかったけれど、騎士団長様は会話に参加してこなかった。
それは、そうよね。料理とかお菓子作りに興味がありそうには見えないもの。
それなのに、不思議なほど騎士団長様は、満足そうだ。
「えっと、何か面白いことがありましたか?」
「いいや。ただ、料理やお菓子の話をしているとき、リティリア嬢は表情豊かで飽きないな、と思って」