【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 私の顔を見て笑っていたのね、とほんの少し頬を膨らましていると、頭を撫でられる。
 騎士団長様は、私のことが好きだと言ってくれたわりに、すぐに子ども扱いする。

「騎士団長様。私、ちゃんと成人した大人ですよ」
「……知っている」
「だって、子ども扱い……」
「そうだな。だが、君にとっては子ども扱いされている方がいいと思うが」
「……?」

 騎士団長様のことが大好きだと、ハッキリ認めたのに、子ども扱いされたままの方がいいなんて、あるはずない。そう思うのに……。

「はあ……。無邪気だな」

 やっぱり子ども扱いだわ。
 どう考えても、大人の女性として見られていない。

 ……魅力が足りないのかしら?

 今日も麗しくて、強そうで、とてもカッコいい、騎士服姿の騎士団長様。
 それに引き換え、私は普段着のまま、この場にはそぐわない。

 そんなことを考えてしまって、ぼんやりと床の絨毯の模様を眺めていると、急に足元が浮き上がった。

「きゃっ!?」
「これから、一つ屋根の下で泊まるというのに警戒心のかけらもない。普通に考えれば、相手にされていないと不安に思うのは、俺の方だと思うが」
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