【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 どこか浮き立つような日々。
 けれど、永遠に幸せな日々が続くことなどない。

「……弟が?」

 魔獣との戦いに明け暮れていた俺に届いたのは、ヴィランド伯爵家の後継者であるはずの、弟の訃報だった。

 その日、王都に急遽戻ることになった俺は、せめて一度でもリティリア嬢に声をかけようと思った。
 しかし、彼女の姿を見つけることはできず、レトリック男爵領に別れを告げることになる。

 レトリック男爵領には、豊富な地下資源があり、ウィアー子爵家嫡男との婚約もしていることから、すぐに復興すると考えていた俺は、浅はかだった。

 まさか、婚約は破棄され、リティリア嬢は、行方をくらませてしまうなんて、王家からの支援も何者かの手によって途絶えるなんて。
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