【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
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「リティリア嬢……。もし、あの時知っていたなら、君をなんとしても助けたのに」
…………そこまで話した騎士団長様は、話を区切った。弟さんが亡くなって、急に伯爵家の後継者になり、それでもずっと最前線で騎士団長様が戦い続けていたこと、私は知っている。
……それよりも。
無意識に動いた私の体は、騎士団長様を抱きしめていた。
もうすっかり、真っ暗になってしまったバルコニーに、ふたりきり。
苦しかった3年前。
時々その姿を見た、素敵な騎士様が、私のことを見ていてくれたなんて、信じられない。
でも、その時、きっと苦しんでいた騎士団長様に、もし寄り添えたなら。
「大丈夫です。私、今とっても幸せです」
「そうか……。そうだな、俺がいなくても、この目に映る君は、いつも笑顔だった」