俺と、悪いことしちゃおっか?
「んーっ」
私の声が聞こえたのか、須藤先輩が目を開けた。
先輩の顔を覗き込んでいた私と目が合い、ドキリとする。
「あっ、おはよう。咲奈ちゃん」
私を見るなり、にっこりと笑顔になる先輩。
「おはようって。もうすっかりお昼ですけど?」
「あ、お昼におはようは変だった? それじゃあ、こんにちは。咲奈ちゃん」
やばい。先輩ったら、寝起きの顔ですらかっこいい。笑顔もキラキラだ……って、何を思ってるんだ私。
「今日、ちゃんと来てくれたんだ。嬉しいなぁ」
「昨日、約束しましたから」
なぜか先輩のことを直視できなくて、私はふいっと視線をそらす。
「俺のこと、起こしに来てくれてありがとう。もし来てくれなかったら、どうしようかと思った」
先輩の長い手が、私のほうへと伸びてくる。