俺と、悪いことしちゃおっか?
私は、次の日からも先輩を起こすため、昼休みになると保健室へと向かった。
「咲奈ちゃん、おはよう。今日も来てくれて嬉しいな」
先輩は目を開けてこちらを見るけれど、寝転んだままでベッドからなかなか起き上がろうとしない。
なんで?
「須藤先輩、早く身体を起こしてください」
「いや。起きる前にさ、咲奈ちゃん。俺に、おはようのキスして?」
「嫌です」
「即答かよ。悲しくなるんだけど。それじゃあ、ハグは?」
「ダメです」
「ハグなんて、外国じゃ挨拶みたいなもんじゃん」
「ここは日本です」
先輩ったら、何を言うのかと思えば……!
「ちぇっ。咲奈ちゃんのケチー」
そう言って、頬をぷくっと膨らませる先輩。
「そんなふうにしても、ダメなものはダメです」
「厳しいな、咲奈ちゃん〜」
口ではそう言いながらも、そんな先輩を不覚にも可愛いなと思ってしまった。
「まぁ、こうして毎日来てくれてるだけ有難いと思わなくちゃね。咲奈ちゃん、いつもありがとう」
「いっ、いえ」
いきなりお礼を言われて、ドキッとする。
「今までは起きるのが億劫だったけど。キミに会えると思うと、毎日起きるのが楽しみになったよ」