俺と、悪いことしちゃおっか?
起き上がり、ベッドの縁に腰かけた先輩が自分の隣をポンポンと叩く。
「しっ、失礼します」
言われた通りに私は、先輩の隣に座る。
私たちはこうして保健室のベッドに並んで座り、ふたりで学校のこととか他愛もない話をする。
これが、ここ最近の私たちの習慣だった。
「……ちょっと、先輩。なんか近くないですか?」
私は、先輩と自分との間に大人がひとり座れるくらいのスペースを開けて座ったのだけど。
先輩がいつの間にか、こちらへと距離を詰めてきていた。
これもいつものこと。
「咲奈ちゃんってば。俺らせっかく今一緒にいるんだから。離れて座ってちゃ意味ないだろ?」
先輩が動き、ぎしりとベッドのスプリングが鳴る。
そのとき、先輩の腕が私の肩に軽く当たった。
ドキッ!
たったそれだけなのに、私の心臓は一瞬で騒がしくなる。
最近の私は、なんだか変だ。
先輩といると、ドキドキが止まらない。
早く静まれ、心臓。
自分にも聞こえるくらいに心臓の音が大きかったら、隣の先輩に聞こえてしまうじゃない……!