俺と、悪いことしちゃおっか?
「最近、あなたが毎日昼休みになると保健室で寝ている海里を起こしに行ってるらしいじゃない」
さすが、須藤先輩の熱心なファン。
そういうことは、よく知ってるんだなぁ。
私が思わず感心していると、目の前に立っていた田村先輩が、いつの間にかこちらへと距離を詰めてきていた。
「この前、あたしとレイナが保健室へ寝ている海里を起こしに行ったら。『悪いけど、もう来ないでくれる? 俺のことを起こしてくれる子は、咲奈ちゃんだけで十分』って言われたんだけど」
うそ。須藤先輩が、そんなことを言ってくれたの? 嬉しいけど、今はとても喜べないや。
「……あっ」
少しずつ後ろへと下がっていっているうちに、私の背中が壁についてしまった。
行き止まりだ。どうしよう……。