俺と、悪いことしちゃおっか?
背中には、嫌な汗が伝う。
「そんな大して可愛くもないのにさぁ。どうしてあんたなの!? ほんと、ありえないんだけど」
田村先輩が、私の顔の真横にドン! と手をつく。
まっ、まさか、女の人に壁ドンされる日が来るなんて。全然キュンとしないんですが。
それどころか、恐怖しかない。
すぐ目の前には能面のように怖い田村先輩の顔があって、私は震え上がってしまう。
「一体、この子のどこが良いんだか。こんなに間近で平沢さんの顔を見ても、良さがちっとも分からない」
「ほんと。それなのに、あの海里くんが相手にするなんて。もしかして、保健室でいかがわしいことでもしてるんじゃないの?」
「……っ」
田村先輩と鈴木先輩に矢継ぎ早に嫌なことを言われて、ものすごくショックだった。
重たい石が突然身体の中に落ちてきたみたいに、心が深く沈む。
何か言い返したいのに、なぜか声が出なくて。
身体がプルプルと震える。