俺と、悪いことしちゃおっか?
「……あのさ。人が気持ち良く寝ているところに、いきなり何なの?」
不機嫌な低い声に、私はハッとする。
「突然、俺に抱きついてくるなんてさ。悪い子だね、キミ」
えっ、えっ?!
どうやら私は、ほんの一瞬気を失ってしまっていたらしい。
気づいたら私は膝が床に崩れ落ち、上半身はベッド上の先輩に覆い被さるような形で倒れ込んでいた。
「こっ、これは……違うんです!!」
私は、慌てて先輩から離れた。
「何が違うんだよ? 抱きついてきたのは事実だろ?」
「私はただ、頭が痛くて。突然クラっとして……。だから、これは事故というか」
「キミみたいな子、たまにいるんだよね〜」
先輩がベッドから起き上がる。
「過激なファンの子で、俺のこと盗撮したり。あとをつけ回してきたり。いきなり抱きついてきたり」
「だから、私はそういうつもりじゃ……っ!」
先輩が私の顎を、片手でくいっと持ち上げた。
そして顔を近づけ、じっとこちらを見つめてくる。
なに? 何なの?
「へぇーっ。よく見るとキミ、可愛いね。お近づきの印に……俺とキスする?」