俺と、悪いことしちゃおっか?
田村先輩たちに、忠告されたばかりだけれど。
やっぱり私は、行かずにはいられなかった。
非常階段から廊下を走って、私が向かう場所はただひとつ。
──ガラガラ。
扉を勢いよく開けると、いつもの薬品の匂いが鼻を掠める。
「須藤先輩っ!!」
「あっ。咲奈ちゃん、やっと来た」
私が急いで保健室の窓際のベッドのカーテンを開けると、須藤先輩はすでにベッド上で座っていた。
「もう。遅刻だよ、咲奈ちゃん」
須藤先輩が、唇を尖らせる。
「ごっ、ごめんなさい。はぁ……はぁ」
ここまで全力疾走してきたからか、息をするのも苦しい。
「咲奈ちゃん。そんなに急いで来てくれたの?」
「はぁ……っ、はい」
「キミが遅れるなんて、珍しいね。もしかして、何かあった?」
「あっ、えっと……」
一瞬、田村先輩たちの顔が頭に浮かんだ。
「顔色も、何だかいつもよりも悪いし……」
そう言って須藤先輩の額が、私の額にコツンと当てられる。