俺と、悪いことしちゃおっか?
それは、一瞬だった。
『先輩』と、私がちゃんと最後まで言えなかったのは、須藤先輩がベッドのそばにいた私を抱き寄せたから。
「キミも、こっちへおいで」
「えっ」
抱き寄せられていた私は腕を先輩に掴まれ、ベッドの上まで引っぱられてしまった。
先輩。寝ているはずなのに、物凄い力だ。
「んーっ、あったかい」
先輩が、私を正面からぎゅっと抱きしめてくる。
先輩の体温が伝わってきて、心臓が破裂しそうなくらいバクバクする。
ちょっ、ちょっと待って。
男女が、ひとつのベッドで寝ている。
これって、かなりまずいんじゃ……?
誰かに見られる前に、早くここから離れなきゃ。
「先輩、離してくださ……っ」
「んー、ダメ……」
須藤先輩が私を抱きしめる腕の力が更に強くなり、身動きがとれない。
──ガラッ!
そのとき、保健室の扉が勢いよく開く音がした。