俺と、悪いことしちゃおっか?


どうやら、養護教諭の柄本(えもと)先生が保健室に戻ってきたみたいだ。


パタパタと、すぐ近くで聞こえる足音。


どうしよう。もし、柄本先生がこのカーテンを開けて私たちのことを見つけたら……絶対、誤解されちゃうよね?


それどころか、問題になるかもしれない。


相手は、あの須藤先輩だし。


学校中の噂になって、それこそ須藤先輩のファンに目をつけられて、私の平和な高校生活が終了しちゃうんじゃ……?


ああ、お願い柄本先生。どうか、このカーテンだけは開けないでーー!


私は、ベッドの上でじっと息を殺す。


「あら? そういえば確か……窓際のベッドっていつもこの時間は、2年の須藤くんが寝てたわよね?」


「……っ!」


「カーテンも閉まったままだし。もしまだ寝ていたら大変だわ。早く起こしてあげなくちゃ。よく思い出したわ、私」


柄本先生、何もこんなときに思い出さなくて良いのに……!


先生の足音が、こちらへと近づいてくる。


「ねぇ、須藤くんー?」


カーテンを掴んだ柄本先生の手が、ベッドのカーテンの隙間から見えた。


ああ、もうダメ……!


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