俺と、悪いことしちゃおっか?


私が覚悟したとき……。


「柄本先生、ちょっといいですかー?」

「あっ、はーい」


足音がだんだんと遠のいていき、再び保健室がシーンとする。


柄本先生が誰かに呼ばれて、保健室から出て行ったみたいだ。


たっ、助かった。誰だか知らないけど、ありがとうございます。


ああ、寿命が縮むかと思った。


安堵感からか、身体の力が一気に抜ける。


だけど、私の身体に纏わりつく重みは相変わらずで。


そうだ、須藤先輩……!


先輩のほうへ目をやると、先輩は先ほどまでと変わらず目を閉じたままだ。


もう! さっきから私ひとりヒヤヒヤして。先輩は、まだのんきに夢の中だなんて……!


腹が立つけど、このきれいな寝顔はやっぱり憎めない。


「ああ、えらいな……ちゃんは」


須藤先輩、寝言かな?


「今日も俺のことを起こしてくれて。えらいえらい」


もしかして先輩、夢の中でも私のことを褒めてくれてるのかな?

そう思うと、自然と頬が緩む。


「ほんとに賢いし、可愛いなぁ……リンちゃんは」


……え?


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