俺と、悪いことしちゃおっか?
いけない。余計なことを気にしていないで、読書に集中しなくちゃ。
私は、教室の壁時計から視線を窓の外へと向ける。
今は梅雨の末期だからか、お昼でも外は薄暗く、朝からずっとバケツをひっくり返したような雨が降り続いている。
「キャーッ!」
「かっこいいーっ!」
何だろう? 教室の扉の近くがやけに騒がしいような……?
気になって視線を移すと、教室の後方の扉付近に人だかりができていた。
それを見て、私はギョッとする。
何なの、あれは。いったい何事!?
人気ブランドのバーゲンセールでもやってるの? ってくらい人が多い。
まぁ何であろうと自分には関係ないと、私が推理小説へと視線を戻したとき。
「はぁ……。やっと見つけたよ、咲奈ちゃん」