俺と、悪いことしちゃおっか?
責任って。
「そんなこと言われても……困ります」
私は、視線を下へと向ける。
「それじゃあ、聞くけど。どうして急に保健室に来なくなったの? 俺、咲奈ちゃんが来てくれないと困るんだけど」
困るって、先輩には “リンちゃん” がいるのに。どうして私に、そんなことを言うの?
意味分かんない。
「ねぇ。なんで海里先輩が、平沢さんと?」
「さぁ。咲奈ちゃんと先輩って、どういう関係なんだろうね」
「もし付き合ってるとかなら、やだなぁ」
クラスメイトの女子数人のひそひそ話が聞こえて、ハッとする。
私が下を向いていた顔を上げると、教室にいるクラスメイトほぼ全員が私と先輩のほうをじっと見ていた。
先輩と一緒だと、どうしても注目の的になってしまう。
私は、自分の席から立ち上がった。
「そんなこと言わないでください。先輩には、“リンちゃん” がいるじゃないですか」
「えっ、リンちゃんって。どうして咲奈ちゃんが、リンのことを?」
先輩の顔つきが変わった。
「リンちゃんがいつも先輩のことを起こしてくれてるのなら、別に私はいなくても良いじゃないですか」
「えっ、ちょっと待ってよ咲奈ちゃん。リンは、俺の……」