俺と、悪いことしちゃおっか?
♯5
あれから、須藤先輩が私に会いに来ることはなかった。
私があれだけ先輩を拒否したんだから、当然だろう。
これで本当に、須藤先輩の目覚まし時計としての役目も終わったんだ。
そう思うと、私と先輩は保健室で会うだけの、ただそれだけの関係だったんだなと痛感する。
学年の違う先輩とは、学校内でも会うことはほとんどなく。
長かった梅雨が明け、7月8月と、ただただ時間だけが過ぎていった。
夏休みも終わって、気づけば9月初旬。
まだまだ残暑が厳しく、照りつけるような強い日差しが教室の窓から差し込む。
「ねぇねぇ、咲奈〜! あたしは、大縄跳びと玉入れに出るんだけど。咲奈は何に出るか決まった?」
今日のホームルームでは、2週間後に行われる体育祭の個人の種目決めが行われていた。
「えっと、私は……綱引きと障害物競走だよ」
私は、ガクッと肩を落とす。
ジャンケンで負けて、やりたくもない障害物競走に出ることになってしまった。
私、運動音痴で走るのも遅いのに。
大丈夫かな?
なんだか嫌な予感がする。