俺と、悪いことしちゃおっか?
早く起きて行かなきゃ……!
必死の思いで、なんとか最後まで走り切った私は……。
「痛っ」
ゴールしたあと、先程の転倒で膝を擦りむいて血が出ていることに気づいた。
競技中は無我夢中で、気がつかなかったけど……これは、けっこう痛いかも。
私が、出血している右膝を手でおさえてその場にうずくまっていると。
「……咲奈ちゃん!!」
えっ?
「咲奈ちゃん、大丈夫!?」
血相を変えて、私の元へと駆け寄ってきたのは……なんと須藤先輩だった。
どっ、どうして先輩が!?
予想外の人物の登場に、私は目を丸くする。
「保健室行くよ!」
「きゃっ!」
突然身体がふわりと浮いたかと思うと、私は先輩に抱き上げられていた。
うそっ。これってもしかして、お姫様抱っこ!?
「キャーーッ!!」
その途端、周囲の女子たちからは悲鳴にも似た声が上がり、視線がこちらへと集まる。
やだ、みんな見てる。
「海里先輩、かっこいい」
「何あの子、羨ましすぎるんだけど」
先輩は私を抱き上げたまま、保健室のほうへと歩いていく。