俺と、悪いことしちゃおっか?
ダッ、ダメーっ!
私のファーストキスを、そんな簡単に奪われるわけにはいかない。
だって、初めてのキスはやっぱり好きな人としたいもの。
そう思った私は……。
「はっ!」
先輩のおでこに、力いっぱい頭突きした。
「いってぇー。いきなり何すんだ!」
先輩が少し涙目になりながら、自分のおでこをさすっている。
あれ、そんなに痛かったかな? まぁ、幼い頃からずっと石頭とは言われてきたけれど。
「おい! これ、俺の商売道具! 分かってる!?」
先輩が自分の顔を指さす。
そっか、先輩はモデルさんだから。
「ごっ、ごめんなさい」
「あーっ。まだ、ヒリヒリするんだけど。ここ、傷になったらどう責任とってくれんの?」
「私、先に謝ったじゃないですか! ていうか、そもそもはそっちがいきなりキスしようと迫ってきたのが、悪いんでしょう!?」