俺と、悪いことしちゃおっか?


──ガラガラ。


「すいません」

「あらあら。どうしたの?」


保健室に着くと、養護教諭の柄本先生がすぐに駆け寄ってきてくれた。


「平沢さん、怪我したの?」

「はい。グラウンドで転んでしまって……」

「ちょっとそこに座ってくれる? その近くの台に足をのせてね」


先生が指さした黒の丸椅子に座り、私は先生に言われるがままに、丸椅子の近くにある足置き台へと右足をのせた。


「少し染みるかもしれないけど、我慢してね?」


柄本先生が、消毒液をつけた綿を患部へと当ててくれる。


「……っ、」


思っていたよりも傷口が染みて、私は涙目になる。


「はいっ、これでおしまい」


柄本先生が、消毒の完了した私の右膝をガーゼで保護してくれた。


「それじゃあ私は一旦、グラウンドの救護テントに戻るけど。須藤くんはこのままもう少し、平沢さんに付き添っていてくれるのかしら?」

「あっ、はい」

「そう。平沢さん、お大事にね」


柄本先生が出て行くと、保健室は須藤先輩と私のふたりだけになった。


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