俺と、悪いことしちゃおっか?


私は、目が点になる。


キスの次は、目覚まし時計になってって。今度は何を言ってるの? この人。


「あの、全く訳が分からないんですが」


「ああ、ごめんごめん。俺、昼休みはいつもここで寝てるんだけど。昼休みが終わる前、保健室まで起こしに来てくれない?」


なるほど、目覚まし時計ってそういうことか……って納得している場合じゃない。


「どうして私がそんなことを……スマホのアラームで、自分で起きたら良いじゃないですか」


「ん〜、俺のこと頭突きした償いっていうか? だってここ赤くなってるし、まだ痛むし。下手したら今日の雑誌の撮影にも影響が出そうだから、傷害罪か何かで訴えようかなぁって思ったんだけど……」


傷害罪って。ちょっと大袈裟では?


先輩のおでこ、少し赤くなってるだけなのに?


この人の言ってること、めちゃくちゃだ。


先輩の唇が、私の耳へと近づく。


「もし、咲奈ちゃんが俺の頼みを聞き入れてくれたら許してあげる」


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