【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
「さぁ……何をしてたのかしら」
異世界生活を満喫しながら、断罪ルートを避けようと金持ちの婚約者を漁っていたなんて言ったら、マロリーは「何それ」と。笑うだろうか。
「まさか令嬢の友達も居ないの!? やばくない?」
「チッ……」
「怖ーい」
話をしていくうちに完全に此方を下に見ているのだろう。
思わず無意識に舌打ちしてしまった。
無遠慮なマロリーに段々とイライラしてきた。
無表情美人の設定が恋しくなる。
それに令嬢の友達が居ないのは、全面的にダリルのせいと、その事に気付けなかった自分のせいである。
「ていうか、この乙女ゲームした事ないの?」
「したことはあるけど、ほとんど忘れてしまったの」
「えー……勿体ない」
マロリーは聞いてもいないことをペラペラと話している。
自分の積み上げてきたものに絶対的な自信があるのだろう。
だが、それも勝手にしてくれという感じである。
「このまま逆ハーとか出来ちゃいそうじゃない? 皆、ヒロインの真似したら直ぐに落ちたんだもん! 笑っちゃった。男って結局こんな感じの女の子が好きなのよねぇ」
キュルルンと音が聞こえそうなマロリーの仕草を冷めた目で見ていた。
同性には全く効果はないが、マロリーの言う通り、男はこういう分かりやすい感じの可愛い女の子が好きなのだろう。