【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
「ど、どうやらダリル殿下は色んな御令嬢にパートナーを頼んでいるそうだよ! たぶん! そう多分」
「……本当ですか?」
「だからトリニティちゃんもあまり深く考えずに気楽にって、ダリル殿下が伝えて欲しいとわたくし達に……ね、マーク」
「そうだな、イザベラ! その通りだッ」
「因みに、断るという選択肢は……」
「ないなぁ」
「ないわねぇ」
「お父様とお母様の為なら仕方ありません……分かりましたわ」

やはり、いくら面倒であっても王家の申し出を断る訳にはいかない。
フローレス侯爵家の明るい未来とコンラッドの為にも迷惑は掛けられない。
三年も何事もなかった為か、すっかり気も緩みまくっていたので他の令嬢達もしているのなら『まぁいっか!』という軽い気持ちでいた。
しかしコンラッドが口を開く。

「でも、おかしいですよね? 普通に……ンンーーッ!?」

急いで口を塞いだイザベラは、そのままコンラッドを引き摺って、どこかへ行ってしまった。
そんな不思議な光景に首を傾げていると気を逸らすようにマークは大きな箱を後ろから取り出す。

「ダリル殿下からドレスのプレゼントだそうだ」
「プレゼント……?」
「当日に着てきて欲しいそうだよ」
「でも何故わたくしに、そこまでして下さるのでしょう?」
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