【電子書籍化決定!】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
ぷーっと頬を膨らませる姿が何とも様になる。
この容姿を活かせば、どこの場所でも無双出来ること間違いなしである。

ーーートントンッ

そんな事を考えているとドアを叩く音がして返事をすると、一人の侍女が部屋の中へと入ってくる。
フローレス家で侍女をしているケリーである。彼女の仕草や言動は何故か全てがあざとい。
恐らくトリニティはケリーからあざとさと要領の良さを学んだのだろう。
バインバインと豊満な胸を揺らしているのだが、わざとなのか天然なのかは分からない。
あまりの迫力に、ごくりと生唾を飲み込んだ。
成長してもトリニティはツルツルでペタペタだというのに羨ましいではないか。

そんなケリーはトリニティが学園に行く頃には、もう側には居ないのだ。
なんと三十歳以上年上の恐ろしい富豪の男性に見染められて嫁いでいった。
確かにケリーは女性には嫌われそうだが、男受けは抜群に良さそうである。
富豪の元に嫁げたのも納得だ。
その時に「すげぇ侍女が居るもんだ」と思ったことをたった今、思い出した。
それに、ぶりっ子で巨乳の侍女はなかなかに珍しい。

「お嬢様はケリーにとっての宝物です」
「ケリーがお嬢様を幸せにしてあげますから」

思い出してみると、ケリーはぶりっ子なだけではなく、愛情深くトリニティに尽くしている。

(こんなに良い環境にいたトリニティは何故あんな事に……)
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