年下男子

「僕が卵とソーセージを焼くから、蘭さんはパンとコーヒーをお願い」
「うん、わかったわ」

いつもなら私が食事の支度をするのに、今日は修平君がキッチンに立つ。
多少違和感を感じるけれど、2人でいること自体には慣れたもので戸惑うことはない。

「さあ食べようか」
「ええ」

テーブルに並んだのは、フワフワのオムレツとソーセージ。付け合わせはトマトとレタス。
パンにはバターを塗り、コーヒーも私が入れた。

「いただきます」
ちゃんと手を合わせてから箸をつける修平君はいつもと何も変わらない。

「うん、おいしい」
私もつい笑顔になった。

普段は一人で食べている朝食がいつもより数段美味しく感じるのは、2人だからかな。一緒に食べる人がいるってこんなに違うのねって、改めて実感する。

このマンションも退職と同時に引き払うことにしている。
思い出が詰まったこのマンションにいるのもあと数日。
寂しいなと感じながらも、修平君とのいい思い出をもらったようで私は上機嫌だった。