年下男子
そもそも会社の仲間である私と宮田君がなぜこんな関係になったのか、始まりは1年前に遡る。

その日、上司である課長とぶつかった私はむしゃくしゃした気持ちを晴らそうと普段行かない店舗に足を踏み入れた。
そこでたまたま見つけたレンタルコーナーのホラー映画陳列棚の前で足が止まった。
子供の頃からあのハラハラドキドキする感じが好きで、ホラー映画をよく見ていた。
いつも実家の居間で、父の隣に座って半分顔を隠しながら指の隙間から見るのが好きだった。
さすがに大学入学と同時に一人暮らしをしてからはそう言うわけにもいかずひとりで見る勇気もなくて諦めていたけれど、その日はどうしても見たい衝動にかられて品列棚の前から動けなかった。

「どうかしました?」
悩んで悩んでやっと手にした瞬間に声がかかった。

「え、あっ・・・宮田君」
「意外ですね」
そう言って指さしているのは私が手にしているDVⅮ。

「ああ、これは・・・」
別に悪いところをみられたわけではないけれど、なぜか恥ずかしくてしどろもどろになる。

その後宮田君もホラー映画好きだったことがわかり、意気投合した私たちは居酒屋へと流れた。
そして、「よかったら一緒に見ませんか?」大分お酒が入った状態で提案され、「いいわよ」私はそう答えてしまった。
それからは、都合の付く土曜日の午後に一緒のホラー映画を見るのが習慣になった。
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