ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!
(マーヴィンside)

マーヴィンには鬱陶しい婚約者が居た。
金の為の婚約とはいえ、どこまでも執念深くマーヴィンに愛を求める女にうんざりしていたのだ。

ベアトリス・シセーラ

両親に溺愛されて育ち、養子である兄もベアトリスを大切にしている。
マーヴィンとは真逆の環境にいるベアトリス。
何不自由なく我儘放題のベアトリスは見ているだけで苛々する。

女遊びをして金を注ぎ込む馬鹿な父親。
何もかもに無関心な母親。
こんな家がマーヴィンは大嫌いだった。
何で自分だけがこんなに不幸なのかと、いつも思っていた。

(‥‥こんな家、継いだところで)

今のセレクト公爵に残っているのは、爵位と歴史だけだ。
それ以外、何の価値もない。

(俺にも価値なんてないんだ‥!)

けれど幸いマーヴィンは容姿に恵まれていた。
そしてマーヴィンが幼い頃から嫌っていた女遊びが、自分の心の隙間が満たされる事に気が付いたのだ。
それからマーヴィンは温もりを求め続けた。

マーヴィンの父は、もう金無しでは相手にされないのだろう。
愛人を囲うのにも必死である。

(馬鹿な奴だ‥)
< 33 / 68 >

この作品をシェア

pagetop