ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!
しかし此処でベアトリスが怒れば、マーヴィンのペースに乗ってしまうだけだろう。

ベアトリスは再び同じ契約書を取り出して、マーヴィンに見せつけてからニッコリと微笑む。

先程、マーヴィンに渡したのは原本のコピーである。
勿論、作成したのはブランドだ。

(コピー機もないのにどうやって書き写したのかしら‥)

その答えは「秘密」だそうだ。
大事な紙をマーヴィンに取られて再び破られるのは避けたかったベアトリスは急いで懐に仕舞い込む。

(‥‥まぁ、これもコピーだけどね)

マーヴィンは何が起きたのか分からないのか、ポカンとして口を開けてベアトリスが持っている紙と自分の足元でボロボロになった紙を見ている。

マーヴィンの行動の先の先を読んだブランドは、まるで予知能力者かと疑ってしまう程だ。
これだけ行動パターンを読めているとなると、ブランドはマーヴィンにもストーカー行為をしていたに違いない。

(お兄様、恐るべし‥)
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