ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!
マーヴィンは王女であるハンナの存在を思い出したからか、緊張で強張っていた表情が柔らかくなる。
きっと、ハンナが助けてくれるとでも思っているのだろう。


「けれど、よく考えて下さいまし?」

「‥‥何だ」

「わたくしと婚約しながら、王女殿下に手を出したなんて知られれば‥‥ねぇ?」


そんな希望の光であるハンナとの未来を、ベアトリスは容赦なく塞いでいく。


「お、まえ‥!」

「そんな女性関係にダラシない男との婚約を、国王陛下がお許しになるとは思えませんけど」

「‥‥っ!!」


ベアトリスがシナリオから退場する事で、これからハンナとマーヴィンがどうなるかは分からない。
けれど、それは2人で仲良く決めればいい。


「もうそれも、わたくしには関係無いことですわね‥‥ではマーヴィン様、お元気で」


ベアトリスが立ち上がり、マーヴィンに背を向けて去ろうとした時だった。


「ーーークソッ!お前さえ、お前さえいなければッ!!」

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