ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!
寝過ぎたのか体の節々が痛い。
喉の渇きと共に、ゆっくりと目を開けた。

確か、今日は肺の検査と血液検査‥‥。
幼い頃からずっと病気を患っていた。
毎日同じ景色を見ながら苦痛に耐える日々。
このままベッドの上で、静かに死を待つしかないと思っていた。

(‥‥え?私、何してるの?ここ、病室じゃない?)

どうやらいつもとは違う広々とした柔らかいベッドに、見慣れない天井。
点滴の針が刺さっていない腕と病院特有の臭いがしない部屋。
何度も何度も辺りを見回す。

(此処は、どこなの‥?)

急いで鏡の元まで走っていく。
鏡に映った自分の姿を見て、驚きと共にその場で崩れ落ちた。


「これが、わたし‥?」


可愛らしい声が小さな唇から漏れて出た。
改めて両手で頬を挟み込みながら鏡を見てみるが、感覚も感触も確かに自分のものだ。

それに、この顔はよく知っている。

(もしかして私、乙女ゲームの世界にいるの!?ヤンデレ令嬢のベアトリスになってるんだけど!?)
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