竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

3.押し掛け女房の策略

(さて、どうしたものか)


 旦那様が出掛けてしまった今、どうするべきか改めて考えなければならない。
 選択肢は大きく分けて二つ。

 一つ目は旦那様の迷惑にならないよう、ここをひっそりと去ること。
 二つ目は太々しく居座って、そのままここで暮らしていくこと。


(旦那様は、ここに居ろとも、出ていけとも言わなかった)


 わたしに決定権を委ねているのか、それとも別の意図があるのかはよく分からない。元々旦那様は、あまり自分の考えを打ち明ける方じゃなかったし、いつもわたしの好きなようにさせてくれた。


(よく考えたら、前世で同棲を始めたときも、わたしが半ば強引に押し掛ける形だったなぁ)


 勝手に自分の家を解約して、大きなカバン一つを持って旦那様の家に押し掛けたあの日。旦那様は驚きつつも、仕方がないなぁって笑ってくれた。本当は困っていたのかもしれないけど、わたしはそれがとても嬉しかった。
 とはいえ、あの時わたし達はどちらも良い大人だったし、今とは状況が全然違う。違うけれど、本当はわたしの中でとっくに答えは出ていて。


(絶対、旦那様の側を離れないもん!)


 そう心に誓っていた。


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