竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「リアン」


 その時、わたしのものとは違う、凛とした女性の声が部屋に響いた。わたし達をここまで連れてきてくれた女性だ。
 旦那様に会えたことが嬉しくて、今の今まで忘れていた。申し訳なさに頬が染まる。

 明るい部屋の中、改めて女性を見る。
 シルバーピンクの長い髪の毛に、切れ長の瞳、魅惑的なボディーを持った美しい竜人。前世で『成人しても子どもっぽい』って言われ続けたわたしとは、正反対のタイプだった。


「ミモザ、いたのか」


 旦那様はそう言いながら、わたしをそっと床に降ろす。


「――――なによ。私がその子たちを連れてきてあげたのに『いたのか』は無いでしょう?」


 ミモザさんは困ったように笑いながら、旦那様の肩をポンと叩く。それがあまりにも当たり前というか……すごく親し気な感じがして、わたしの心臓がキュッと軋んだ。


「この子達ったら薄暗い庁内を灯りもつけずに歩いてたのよ? 怖そうにしてたし、保護して正解だったと思うんだけどなぁ」

「そうか……ありがとう。すまなかったな」

「どういたしまして!」


 ミモザさんが嬉しそうに身を乗り出す。
 何とか空気を変えたくて、わたしは持参したリュックサックを開いた。


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