竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
(それに、ミモザさんが旦那様を好きなのは間違いないし)


 女の勘っていうのは馬鹿にならない。ミモザさんの瞳は、恋する女性のものだ。断言できる。

 だけど、対する旦那様がどう思っているのかは、わたしにはよく分からない。特別好いているわけでも、嫌っているわけでもないように見えるけど、あの縄張り意識の強い旦那様が触れることを許してるんだもの。もしかしたら、わたしには見せないようにしているだけで、本当はめちゃくちゃ好きだったりするのかもしれない。


(って! そんなことばっかり考えてちゃダメ!)


 心の中に巣食う毒みたいな感情を必死で追い出しつつ、旦那様を見上げる。
 折角旦那様に会えたんだもの。嫉妬とかくだらない妄想に勤しむ時間があったら、旦那様を目に焼き付けるべきだ。


「ん? どうした、アイリス?」


 旦那様はそう言って、わたしのことをもう一度抱き上げる。
 旦那様と同じ視界。遮るものが何も無く、とても広い。
 嬉しくて――――それから悲しい。
 きっと恋人ならば、こんな風に抱き上げられることは無い。幼子や愛玩動物だからこそ得られる温もり。だけどそれは、わたしが求めているものとは違う。


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