竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
アイリスはリアンにとっての全てだ。
人間だとか竜人だとか、そういう枠に嵌めること自体があり得ないし、侮辱することは許せない。
まるで業火の中に放り込まれたように心臓が疼き、視界が真っ赤に染まっていた。
「たかが、だろう。たった八十年で死んでしまう、弱い種族だ。我々と相容れることは無い。……いや、おまえとは相容れてはならない存在だ」
不敵な笑み。刃が食い止められると同時に、リアンは父親の腹部を思い切り蹴り飛ばす。「うっ」という小さな呻き声と共に、身体が後方に飛ぶ。ようやく入った一撃だった。
「寿命がどうとか、種族がどうとか関係ない。少なくともあなたには関係のない話だ」
「――――なにを。関係ないわけがないだろう。俺は長として、種族を繁栄へと導く義務がある。おまえとミモザ殿との結婚だって、種族のために必要な決定だ」
口内に溜まった血を吐き出しながら、父は言う。彼が体勢を整える前に、リアンはすかさず剣を振り下ろした。
先程よりも大きな呻き声と共に、父親の身体と床が刃で繋がれる。傷口からじわじわと、大きな血だまりが出来た。
「ミモザと結婚? そんなもの、するわけがないだろう。種族の繁栄なんて糞喰らえだ。竜人に生まれてきたのは自分の――――前世の『業』のせいだ。他の誰を責めることもできない。
だが、自分がどう生きるかについて、おまえ達に付き合う義理はない。俺はアイリスと生きる。それ以外のものは何も要らない」
剣伝いに己の魔力を流し込む。父親は激痛に喚きつつ、リアンのことを見上げていた。
人間だとか竜人だとか、そういう枠に嵌めること自体があり得ないし、侮辱することは許せない。
まるで業火の中に放り込まれたように心臓が疼き、視界が真っ赤に染まっていた。
「たかが、だろう。たった八十年で死んでしまう、弱い種族だ。我々と相容れることは無い。……いや、おまえとは相容れてはならない存在だ」
不敵な笑み。刃が食い止められると同時に、リアンは父親の腹部を思い切り蹴り飛ばす。「うっ」という小さな呻き声と共に、身体が後方に飛ぶ。ようやく入った一撃だった。
「寿命がどうとか、種族がどうとか関係ない。少なくともあなたには関係のない話だ」
「――――なにを。関係ないわけがないだろう。俺は長として、種族を繁栄へと導く義務がある。おまえとミモザ殿との結婚だって、種族のために必要な決定だ」
口内に溜まった血を吐き出しながら、父は言う。彼が体勢を整える前に、リアンはすかさず剣を振り下ろした。
先程よりも大きな呻き声と共に、父親の身体と床が刃で繋がれる。傷口からじわじわと、大きな血だまりが出来た。
「ミモザと結婚? そんなもの、するわけがないだろう。種族の繁栄なんて糞喰らえだ。竜人に生まれてきたのは自分の――――前世の『業』のせいだ。他の誰を責めることもできない。
だが、自分がどう生きるかについて、おまえ達に付き合う義理はない。俺はアイリスと生きる。それ以外のものは何も要らない」
剣伝いに己の魔力を流し込む。父親は激痛に喚きつつ、リアンのことを見上げていた。