竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「ねぇ、ロイは旦那様の身の回りの世話を一人でしているの?」

「はい。それ以上は不要だと、リアン様が仰いますので」

「……こんなに広い家なのに?」


 尋ねながらわたしは周囲を見回した。
 わたしが今いるのは、大きなベッドが一台置かれた寝室らしき場所だけど、ここだけでもわたしが現世で両親と住んでいた家よりも大きい。おまけに、少し開いたドアの隙間から見える居間はもっと広くて、調度類も物凄く立派だ。


「旦那様はあまり家にはいませんし、一人でもそんなに大変だとは思いません」

「そっか」


 そっかぁ。それじゃぁわたしが『小間使いになります!』って立候補しても、あんまり響かないのかなぁ。でもなぁ。厄介になるからには、何かしらメリットを提示しないと。


「ロイ、キッチンを借りても良い? わたし、旦那様に命を助けてもらったお礼がしたいの。食事ぐらいならわたしでも準備できるから」

「もちろんです。正直僕は炊事は苦手で――――きっとリアン様も喜びます」


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